2010年12月5日日曜日

10月19日参議院法務委員会(平成21年度国籍法改正による報告)

今回は、10月19日に参議院法務委員会で行われた
国籍法改正後の施行状況について報告があったのでそれについて記載したいと思います。

法務委員会の文字起こし分は最後に記載するとして、
まず、平成21年に施行された改正国籍法について基本的な情報を整理したいと思います。

①国籍法第3条が新しくなったことにより国籍取得の手続きが変更されました。

②国籍取得に関する要件の変更点

1 国籍を取得しようとする者が父又は母に認知されていること
2 国籍を取得しようとする者が20歳未満であること(注1)
3 国籍を取得しようとする者が日本国民であったことがないこと
4 国籍を取得しようとする者が出生したときに、認知をした父又は母が日本国民であったこと
5 認知をした父又は母が、現に(死亡している場合には、死亡した時に)日本国民であること

注1 すでに20歳を超えている場合では経過措置により平成23年12月31日までに
法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得することができる場合があるので注意

③ 国籍法第20条によって罰則が新設された

虚偽の国籍取得届を提出した場合には1年以下の懲役又は20万円以下の罰金

ただし、上記のような事例については公正証書原本不実記載罪(注1)も適用されます。

注1 この公正証書原本不実記載罪は認知届市区町村への国籍を取得した旨の届出双方に適用

④ 改正の必要性

平成21年度改正は、平成20年6月4日の最高裁より、
日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子の間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,憲法第14条に違反する」との判決を言い渡しました。
このような事例が違憲状態にあると判断されたため、違憲状態を解消するための改正といえます。

では、10月19日参議院法務委員会の起こしを下記に記載します。

浜田昌良委員長
  法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。
 去る平成20年12月4日の国籍法の一部を改正する法律案に対する附帯決議に基づき、
  改正後の国籍法の施行状況に関する件について、
  政府から報告を聴取いたします。原法務省民事局長。


原優法務省民事局長 
  国籍法の一部を改正する法律に係る参議院法務委員会における附帯決議に基づき、
   平成22年4月1日から平成22年9月30日までの間における改正後の国籍法の施行状況を
 報告いたします。
 まず、国籍取得の届出状況について報告いたします。
 平成22年4月1日から平成22年9月30日までの間における改正法に係る
  国籍取得の届出件数は587件であります。
  このうち、改正法の施行によって新たに国籍取得が可能となった事案、
  すなわち、父の認知のみで父母の婚姻がない事案は315件となっております。
 国籍取得の対象となる子の国籍については、フィリピンが392件と最も多く、
  次いでタイが53件、中国が41件、韓国・朝鮮が38件、その他が63件となっております。
 また、国内でされた届出は440件、在外でされた届出は147件となっております。
 処理件数については、受理が596件、不受理が10件で、
  期末に審査中のものが247件となっております。
 なお、
虚偽の国籍取得届をしたとして罰則が適用され有罪判決が確定した事案が一件あり、
  国籍法第二十条違反の疑いで関係者が立件された事案が一件
あります。
 次に、改正法の周知状況について報告いたします。
 国籍法の改正及び改正法に基づく国籍取得の要件については、引き続き、
  法務局等における国籍取得の相談等において適切に説明しているほか、
  法務省ホームページ、ポスター、リーフレット等により周知を図っております。
 次に、国籍取得の届出の調査方法について報告いたします。
 
法務省では、虚偽認知による不正な国籍取得を防止するため、
  届出人に対して国籍法施行規則の一部改正により見直した添付書類の提出を求めているほか、
  全国の法務局等あてに民事局長通達を発出し、国籍取得の届出に係る慎重な調査を実施しております。
 
具体的には、法務局等における届出の受付後の調査として、
  父母双方の出頭を求め、父母から認知に至った経緯等の聴取をするほか、
  必要に応じ、届出人や関係者に対する文書照会、現地に赴いての事情聴取、出入国記録の取り寄せ
など、
  父子関係の有無を確認するための厳正な調査を行っております。
 
  次に、関係機関との連携について報告いたします。
 法務省民事局は、不正な国籍取得の防止及び虚偽の届出をした者の制裁の実効性を確保するため、
  全国の法務局等に対し、
  都道府県警察及び地方入国管理局との間で虚偽認知に関する情報を交換し
  共有する体制を整備するよう指示しており、
  法務局等は、随時、関係機関との間で活発な情報交換を行いつつ、慎重な調査に努めております。
 法務省におきましては、今後とも、更に関係機関との連携を深め、
  虚偽認知に関する情報収集に努めるとともに、より慎重な調査を行うことにより、
  不正な国籍取得の防止に努める所存であります。
 以上、御報告申し上げます。

以上です。明日は法務省関連についての記載か後日の法務委員会について記載しようと思います。

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